子どもの叱り方についてのご質問をいただくことがあります。
「同じことを何度言っても治らない」「どうしたら良いのか分からない」など、子どもを叱るというのは、親としてよくある悩みだと思います。
ただ、叱るということを考えたときに、子どもは『しない』のか『できない』のか、きちんと判断する必要があると思います。
もちろん、子どもによっては障害特性、性格や保護者様との関係性などが複雑に関わってくることですので、あくまで参考として、聞いていただけると幸いです。
叱り方について頂いたご質問の中から、いくつかご紹介したいと思います。
【叱るときの声かけの方法がわかりません】
親も人間です。頭に血が上るとついつい大きく甲高い声で、叱るのではなく、感情的に『怒って』しまうこともあると思います。しかし、それでは情報量(いつもと違う声+内容+いつもと違う雰囲気・表情など)が多く、固まってしまったり、混乱してしまうことがあります。
⇒「悪いことをした」ということを、だらだらと説明してしまうと「叱られている状況」では話している内容を理解することが難しいのです。叱る場面では本人が悪いとわかっていることをした(そのために事前の約束などは有効です)場面や、現行犯で捕まえて、短い言葉で叱る方が効果的です。そのあとで、どうして叱ったのか伝える必要があるのなら、落ち着いていつものように話してあげてください。
【話をしているときに固まって返事をしません】
上述しましたが、情報量の多さでフリーズしている可能性があります。
⇒固まってしまった場合は、場所を変えたり、体勢を変えたり(立っているなら座らせるだけでも効果があることがあります)、少し体を動かすなど、少し切り替えをしてみてください。場面や体勢を切り変えることで膠着状態から抜け出せるかもしれません。
【話をするとき聞いていないし、叱った後ですぐに話を忘れているようです】
顔や体は親のほうを向いていても、意識や注意が向いていなければ、上の空で他のことを考えている状況と同じです。目が合っているのにわかっていないなどということはよくある話です。また、話した後に、他のものに興味がわいたり印象強い出来事があったりすると話した内容を忘れることもあります。
⇒まず環境を整える必要があります。なるべく静かな場所で、本人が興味を示すもの(おもちゃや本、テレビやタブレットなど)が目に入らない状況を作ってあげてください。そして、一対一で語りかけてください。
忘れてしまうことに関しては、約束ノートなどを作り、後で確認し合えるようにしておくというのも一つの方法です。
その際に本人が苦痛でなければ、自分でノートに記入させてもいいと思います。(しかし、本人が嫌がったり、やる気がなく汚い字になるようであれば、親が書くようにしてください)
叱るとき、親のほうも叱ることの目的を、ひと呼吸おいて考えてみましょう。多くの場合【同じことを繰り返してほしくないから】【やってはいけないことをわかってもらうために】叱っているはずなのです。叱るのにも大変なエネルギーが必要なのにも関わらずです。
それが、子どもに内容が伝わらず、ガミガミと怒っているだけの印象が残ってしまうなどというのは踏んだり蹴ったりです。
さらに「あんたはそんなんだから…」「どうしてあんたはいつも…」など、本来叱りたかったはずの目的からそれてしまうと、当然叱られた内容なんて入りません。
むしろ、保護者さまのほうが当初の目的を忘れて、感情的に怒ってしまっているのかな?なんて光景を、うちの家庭でも見ます。(妻には怖くて注意できませんが…)。もちろん、頭に血がのぼってすっきりしたいという思いもわかりますが、冷静に。目的を考えて、効果的な叱り方をしていきましょう。
余談ですが、こうやって考えてみると、サザエさんの波平さんは上手に叱っているのかもしれませんね。悪いことを現行犯で捕まえて、場所を変えて(カツオ、あとでワシの部屋にきなさい)、体勢を変えて(正座で)、短く叱る(バカもん!)、そのあとで話をしていますし。「口は災いのもとだ…」なんて、カツオくんも反省しています。それに比べてサザエさんのほうはガミガミした怒り方で、カツオにもたいして効果がないですね。影で(姉さんがうるさいからな…)なんて言われて。
どちらの叱られ方をしたら効果がありそうか、アニメくらい単純にされているとわかりやすいですね。でも、まあ、波平さんも盆栽を壊されて「叱る」わけではなく感情で「怒って」しまっている場面も多々ありますので、あくまで叱り方だけを切り取って見たらの話なのですが。
繰り返しますが、上記の内容は一例です。この内容が全ての児童に当てはまるわけではなく、個別の対応が必要になります。お悩みであればお気軽にスタッフまでご相談ください。